どのようにすれば争わずに済むのか?

夫の財産

持家と借家のコストは等しいかしかしこのことは、購入した土地·住宅に自分で住むのか、人に貸すのかという選択には影響を及ぼさないはずである。自分で住んでもよいし、人に住まわせても、同じだけの利益がぁるはずである。なぜなら、人に住まわせて家賃を取れば、その家賃で自分は他の場所を借りることができる。高い地価上昇率が予想されるときには、自分の家に自分で住んでも、他人に貸してもそれらはいずれも同じ程度に有利な選択である。
したがって、利子率が低下したり、地価上昇率が高まると予想されても、とくに持家が有利になるわけでもないし、借家が不利になることもない。この意味で、持家にするか借家にする利子率や地価上昇率などの要因では説明できない。かは、右の説明は、土地·住宅サービスの供給者という観点から問題を考えたものである。

不在者財産管理人選任同じことは、土地や住宅サービスを借りる人の立場から見ても妥当する。住宅を借りるか、家を購入するかという問題に直面している場合を考えてみよう。このとき、地価や住宅価格の上昇率が高いと、どのようなことが起こるだろうか。右の例でいえば、地価や住宅価格の上昇率が高いときには、多くの人たちにとって土地や住宅を購入して、アパート経営を営むことが有利になる。
その結果、アパートの家賃は低下するたくさんのアパートが建築され、借家の供給が増えると、競争の結果、家賃は低下するというのが経済原則である。したがって、地価上昇率が高いということは、家賃が下がることを意味図1-1
する

これからアパートを借りる人にとって、家賃が下がることは、たいへん歓迎すべきであるしたがって、利子率が低下したり、地価上昇率が高くなると、家賃が下がる結果、借家(アに住む人にも利益が及ぶ。
家賃が低いアパートに住むか、パート)あるいは買った住宅に自分で住むかを比較すると、そのコストは等しくなってしまう。
結局、その意味で、地価や住宅価格の上昇率は持家率に影響を及ぼさない(厳密には資本コストの問題を考えなければならない)。右に述べたことをいい換えると、次のようになる。地価上昇率が高いときには、その分だけ家賃が下がる結果、借家に住むときのコストが安くしたがって、地価上昇率が高くなると、低くなった家賃を払って借家に住むか、なる。
あるいは地価上昇率が高い分だけ有利になった持家を選ぶかは、どちらも同じだけ有利になっている。この意味で借家に住むか、持家に住むかは影響を受けないこれが従来の経済学での議論である期的には低金利で家賃が下がるこのような議論をすると、地価上昇率が高くても、家賃の低下にはすぐはね返ってこない「そんなことは現実には観察されない」という反論が返ってくるだろう。

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しかし、バブルといわれた一九八○年代後半の地価上昇率が高かった時期に、顕著に持家率が上昇したという事実は観察されていない。さらに、ここ数年の低金利が持家率を高めているという報告も聞いたことカ有し家賃の低下をかなり説明できるだろう。景気が悪いので家賃しかし、最近の金利の低下は、が低下しているという側面もあるが、家賃の低下と金利の低下は右の議論と矛盾しない。こう考えると、利子率や人々の予想地価上昇率は、長期的には家賃に反映されると考えられるしかしここで、現実にアパートを借りる場合のことを考えてみよう。
金利が下がったからといって、すぐさま大家から家賃を値下げしますという電話が入るわけではない。また、現実のデータを見ても、予想地価上昇率が上がっているほどに家賃が下がっているわけではない。利子率や地価上昇率が変化したからといってすぐに家賃が変化しない理由は、一つには、後に述べるように、借地借家法にあると考えられる。

借地借家法のもとで借家権が強く保護され実質的な長期契約が保証されているために、家賃は利子率の短期的な変化や予想の変化に対し利子率が高くなっても、家賃を上げることはできないし、て柔軟に変化しないのである。
どのようにすれば争わずに済むのか?地価継続家賃を下げることはしない。上昇率が高まったからといって、このような現実の法制度を前提にすると、利子率の変化は、持家か、借家かという選択に影響を及ぼす。多くの人たちが持家を持ちたいと考える理由の一つは、この点は、ここにある。次章でもう少し詳しく考えることにしよう。どの国でも借家は小さく持家は大きい

それでは、何が持家と借家の選択に影響を及ぽすのだろうか。
以下で考えるのは所得水準は持家·借家の選択に影響するか。持家と借家に規模の差はあるかという二つの問題である。この問題に関していえば、右に述べたように、人々は年齢や所得の上昇にともなって、借家持家に居住形態を変化させる。
一般に所得水準の低い人たちは借家に住み、所得水準の高い人たちが持家に住むという傾向があるこの問題に関しては、どの国でも、借家のほうが一戸当たりの規模が小さい。欧米諸国では平均すると借家の規模は持家の約八割程度である。
つまり、持家の規模を100㎡とすると借家の規模はおよそ七OS八0㎡というのが欧米諸国の平均である。しかし、日本では持家の水準は欧米とそれほど変わらないが、借家の規模は四五0㎡で、欧米にくらべてはるかに小さいのが特徴的である。次章で説明する借地借家法の影響が強いと思われる。
この差は、ここでは、日本に固有の問題ではなく、なぜ持家にくらべて借家の規模は小さいのかという多くの国に共通する点について考えてみよう。従来の経済学の議論に従うならば、持家にするか借家にするかは無差別である。
しかし、それが正しいとすれば、持家と借家の規模の格差はそもそも生じないはずである。それでは、般的に借家のほうが規模が小さくて、持家のほうが大きいという事実は、どのように説明されるのだろうか。両者の規模の差を説明するカギは、取引費用とエージェンシー·コスト情報の非対称性である。

この二つの概念を用いて、持家と借家の規模がどのように決まるかを考えてみよう先ほどの例と同じように、いま住宅を保有しており、その住宅を自分で使うか、あるいは人に貸すかという選択の問題に直面している場合について考えてみよう。

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住宅を自分で使う場合と他人に貸す場合とで大きく異なるのは、住宅をどのように使うかと他人に自分の家を貸すときには、いろいろな障害が生じる。いう点である。家の場合--エージェンシー·コストがかかる大家さんが借家人のことで最も心配なことは、家を大切に使ってくれるか、近所の人とトラブルを起こさないか、といったことである。自分でその家を使う場合には、こういった問題は起こらない。
家を大切に使わなければ、自分の資産価値が下がるだけだから、乱暴に使うのは近隣の人とのトラブルを避けるのも住宅の資産価値を維持するためには、合理的ではない住宅を持つ人の知恵である。借家人がどのような人かをよく見きわめなくてはならない土地や住宅を人に貸す場合には、しかし、いつもその借家人を見張っているわけにもいかない。
これは、家を他人に貸すとき水商売お断り「子不動産屋の前に立ってアパート探しをすると、とか最も心配な点である。といったチラシが目に入るのは、家主が特定の人たちについて不信感を持っているども不可」ためである。
もちろん、借家人の不注意によって住宅資産に生じる損害や事故に対処するには、特定の契これによって、事故の確率を低下させることができる約を家主と借家人の間で結べばよい。しかし、どこまでを借家人の責任とするかを契約書に明確に記載することは不可能である。さらに責任の所在を第三者に示すことは、もっとむずかしい。したがって、家を自分で使わずに他人に貸す場合には追加的なコストが発生する。
このような家主と借家人の間の情報の非対称性から生じるさまざまなトラブルのために、発このような費用をなぜエージェンシ生する費用は、エージェンシー·コストと呼ばれる。

コストと呼ぶかというと、賃貸借契約には、必ず委託人プリンシパルと代理人
ホットスポットにする方法(エージェントの関係が存在するからである。)者と労働者、主と経営者消費者とここで、コストについて、もう少し説明しよう。エージェンシー·たとえば、企業経営についても情報の非対称性が存在する。この場合は、企業の所有者(株主)が委託人であり、企業の経営者が代理人となる。株主は、みずから委託した資金や資産が効率的に利用されて、最大の利潤が得られることを目的としている。これに対して、代理人である経営者は株主のこのような要請よりも、みずからの欲求を満たすことを優先する可能性がある。
みずからの地位が安泰であれば、利益を上げるよりも自分の地位や待遇を改善するほうが重要だと考える経営者がいるかもしれない。このとき、利潤が低下しても、それは経営努力を怠ったからではなく、企業の外的な要因であったと主張することができる。これができ経営者のほうが株主よりも経営についての多くの情報を持っているからであるるのは代理人は、このような情報格差をつねに利用することができる。

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