世帯数が減る

相続がいつ発生するかわからない状況では

また子どもが就職したり、大学親元を離れ独立するというのが普通である。結婚や出産のために家族が増えに行くときには、ると、大きな家に引越しする。老後はフロリダやカリフォルニアで過ごそうと考えている人も多い。日本ではそのようなことはあまり考えにくい。どのような理由によるものなのだろうか。この差は、雇用制度や教育制度だけではない日米の雇用制度の差異が、住み方に無視できない影響を及ぼしていると考えられ一つには、る。日本の終身雇用制が、転居率を低くしている。
アメリカでは、職場や会社を転々とすることに対して、積極的な評価が与えられている。これに対して、これまでの日本社会では、職を転々とすることは必ずしも望ましいとは考えられていなかった。また日本の企業は、これまで人々は一生同じ企業に勤め上げることが有利であった。成長率が高かったために、より有利な同じ企業内で年齢の上昇とともに昇給の機会が与えられた。
職場を求めなくても、このような人々はあまり転居する必要がなかったとも考えられる。
終身雇用制のために、その他にも、日本には転居率を下げている要因がある。

ひとたび地域に住みつくと、さまざが発生する結果、まなサンクコスト(投下した費用のうち回収できない費用)そのコミュニティを離れることに対して強い抵抗感が働くというのが、日本社会の特徴であるように思われるその典型は、子どもの学校選びである。学校に通い出すと、子どもは転校をいやがることが将来の進学を考えて転居をしたがらない親たちも多い。そのために、父親だけが仕事の多い。都合で転居する単身赴任という事態が生じる。これは、ある地域に住居を構えたときに、それを変えるときのコストが非常に高いことを意外国人の目から見れば夫だけが単身で地方に赴任しているという事態は、味している。たいへん奇異なものと見られる。
以上のように、雇用制度や教育制度によって日本の転居率が低くなっていることが考えられるが、さらに大きな要因もある。それは、広い意味での引越し費用が無視できないことである多くの人たちが転居するアメリカの住宅は、日本にくらべて引越ししやすくなっている。住宅が造られているといえる。とを前提として、このような住宅サービスの質の違いや人々の住み方の違いは、どこから生じるのだろうか。
以下では、経済学的な観点からこの理由を考えてみよう。
低い転居率が通勤費を高めている建設白書』一九九六年版によると、日本では平均すると、1年間におよそ六%の世帯が転これに対して、アメリカではおよそ一七%、1%の世帯が居している。イギリスでもおよそ1転居している。
持家については、持家と借家世帯とに分けると、日本では約11%の転居率に対してアメリカはおよそ八%と、その差はきわめて大きい。借家の世帯でも、日本では一五%の人が転居しているのに対して、アメリカでは三二%、イギリスでは四〇%という高い値を示している表5-1

日本では、このように転居率が低いために、いろいろな問題が発生している。いったん住居を構えると、人々はなかなかそこから転居しないために、通勤費用や輸送費用の社会全体の合計は、最適な水準をかなり上回っているという実証結果が報告されている(大河原透·鈴木勉「東京圏における通勤時間の経済分析」『住宅土地経済』第七号、一六ページ、一九九三年)。

親の家を片づけるこの研究によれば、住宅や企業の配置を適当に変更することによって、つまり企業や人々を社会全体の輸送費用や通勤費用をもっと少なくすることができ住み替えさせることによって、る。いい換えると、現状では、必要以上に遠くから通勤している人々がいる一方で、通勤する必要のない人々が都心に居住していることになる。えの費用は下げられないのかもちろん、これは輸送費や通勤費の総合計を最小にするために、どのように人々を配置させるべきかという問題を解いているにすぎない。ここでは、住替えによって発生する費用を考えていないから、このような結果が出ているのである。
住替えによる移転の費用を考慮すれば現状はそれなりに合理的なものであり、住替えの費用と通勤の費用の合計を最小にするように人々は行動しているはずであるしかし、そのような高い移転費用が合理的なものかどうかを考えなければならない。住替えの費用を高めているのは、どのような要因であろうか。
住替えの費用を下げることによって、人々の転居率を高めることができるならば、それによって通勤費用や輸送費用を下げることも可能である。社会全体の効率性を改善するために何か良い方法はないのであろうか。人為的な理由から、人々の住替えを阻害する要因が発生しているのではないだろうか。

引越しの少ないにくい?人々の転居率を下げている一つの大きな原因として、まず考えられるのは借地借家法であるこれは、借家の転居率を下げている。なぜなら、すでに述べたように、日本の借地借家法のもとでは正当事由がなければ、契約期間が終了しても借家人を追い出すことができないからであるみずから進んで転居していくことはあまり合理的ではない。借家人にとっては、強い借家権

保護があるために、人々はなかなかそのアパートを立ち去ろうとはしない。強制的に立ち退かせられることもないし、また家賃の値上げに対しては、裁判という方法もある。
その結果、家主は家賃を引き上げることもできない。ひとたび借家に住んだら、そこから自発的に転居していくのは、あまり合理的とはいえない。京都の住宅事情である。東京の数倍も高い敷金や礼金が要ここで興味深いのは、京都では、求される。
東京では、およそ家賃の1カ月程度が敷金·礼金として要求されるのに対し、京都五カ月というのが相場である。ただし、では四更新料は家賃の1カ月分程度である。したがって、住み続けるかぎりは、それほどコストは高くはない。
これは京都における転居のコストを高めていることを意味している。これは、家主が防衛的に敷金や礼金を高めた結果だ借地借家法による借家権保護のために、いったん高い敷金·礼金を払うと、と考えられる。転居しようとは誰も思わないだろう。転居すればまた高い敷金·礼金を払わなければならないからである。敷金·礼金の高さが、転居をさらに低くするという悪循環をもたらす。
借地借家法の結果生じた敷金·礼金の上昇が、ますます人々の転居率を低めているのである。
この意味で、自己実現的な均衡が成立していると考えられる。京都ではおそらく、転居率は東京よりも低くなっているであろう。京都の借家市場では、このような均衡を維持するような循環的な力がいつも働いている。京都は閉鎖的で他所者を排除するといわれる原因の一部は、借地借家法にあるのかもしれない。借家権保護によって転居率が低くなることを予想して家主は敷金や礼金を上げる。

自宅の土地を次男に相続させる

大変でしたね

それはよろしかったですね
この敷金の上昇は、借家人にとってみれば、転居をいっそう不利にすることになる。したがって、人々はますます転居しなくなってしまう。住み始めたら永く住み続けなければならないという住みにくいことをいい換えたにすぎない。のは、日本の中古住宅市場は小さいそれでは、持家世帯の転居率が低いのはなぜだろうか。そのカギは中古住宅市場にあると考えられる。
賃貸借市場では借地借家法の存在のために転居率が低くなっていると考えられるが、持家世帯にとってみれば、中古住宅市場の特徴が転居率を下げていると考えられる。再び、『建設白書』で、日米の中古住宅市場での売買量を調べてみよう。一九九六年版アメリカでは年間約四二〇万戸が中古住宅市場で売買されている。
これに対し、日本では約一七万戸程度が売買されているにすぎない。全体の住宅ストック量に占める割合は、アメリカではおよそ四%、日本では0.四一%程度である。
日本ではアメリカのおよそ一0分の1しか売買されていない。イギリスではどうかというと、全持家住宅の約六%の中古住宅が売買されている。
これらの数字を見るとわかるように、日本は転居もしないし、中古住宅市場で住宅を売買する実績もないわずか二六年の寿もう一つ興味深いデータは、同じく『建設白書』一九九六年版住宅寿命についてである。

によれば、日本の住宅の寿命はおよそ二六年といわれている。アメリカのそれは四四年、イギリスでは七五年であることを考えると、日本の住宅寿命の短さは非常に特徴的である。いったいなぜ、住宅寿命がこんなに短いのだろうか。そして、中古住宅市場の回転率が低いのは、どうしてなのであろうか住宅寿命の短さに対する回答の一つは、木造だから、というのが多いのではないだろうか。

しかし、地方に行けば、木造としても二六年という寿命は短すぎる。
100年以上たった木造の農家がたくさん存在している。こういった点を考えれば、木造であるから住宅寿命が短いと考えるのは早計であろう。興味深いデータを示しておこう。ここでもう一つ、それは住宅のメンテナンスについてであるアメリカと日本で、住宅の改善や補修のために、どの程度の資本が投入されたかを調べてみ·九%の補修投資をしている。
これに対し、る。アメリカでは、住宅ストックに対して約一日本は約0·一六%という低い値である。
つまりアメリカでは総住宅価値のうち年々一·九%の補修投資をしているのに対して、日本は住宅の品質維持のために、アメリカの10分の1以下しかお金を使っていないことになるこのように住宅を大切にせずに、住宅の寿命を短くしている原因は何であろうか。
多摩グリーン賞これまでの章で、日本では土地を非常にむだに利用していることを説明してきたが、住宅についても同様である。非常にむだな投資をして、住宅を乱暴に扱っていることがわかる。せっかく造られた住宅ストックも、維持補修されず、老朽化が進むと簡単に取り壊されてしまうというのが、日本の住宅の姿である。
これに対して、アメリカやイギリスの住宅寿命は非常に長く、住宅をていねいに使い、またそれらにお金を使って住宅の品質を維持しつつ、寿命を長引かせていることがわかるき工事の判定はむずかしいそれでは、どうすればこれまでの事実を説明することができるだろうか。この問題のカギは情報の非対称性にある急速に分析が進んだ分野である。
情報の非対称性の経済学は、一九七○年以降、その結果それまであまり分析されてこなかった品質の問題を、積極的に分析することができるようになった。買い手と売り手の間に、情報の非対称性とは、財やサービスの品質について情報の格差がある状態をいう。
経済学のこの分野では、買い手と売り手の一方がより多くの情報を持つどのようなことが生じるのかを詳細に分析するているときに、賃貸借市場と同じように、中古住宅市場の売買についても情報の問題が発生する。それは私たちが住宅を購入する際に、いつも直面する問題であるよく報道されているように、手抜き工事のために土台が傾いたり、地震にきわめて弱い住宅がたくさん建設されている。
耐震性能や住宅の品質についての情報は、買い手にとって簡単に手に入るものではない。毎日毎日、工事現場で素人が見守っていても、住宅のどこに手抜きがあったかを確かめることは容易ではない。
専門家が建築現場に立ち会えば、手抜きや欠陥がぁることは容易に見つけることができるだろう。これに対して、すでに建築された住宅については、性能や品質をチェックすることは非常困難であるといわれている。中古住宅のようにすでに造られた住宅の品質を審査、チェックすることはむずかしい。

この意味で、中古住宅は日本においては、あまり有利な投資商品とはいえない中古住宅を購入するときには、不動産屋のいうことを信頼するほかはない。カスタムメイドが合理的だった従来、家を購入する方法は、信頼できる工務店に建築を依頼するか、信頼できる開発業者や不動産業者から新築住宅や中古住宅を購入するしか方法はなかった。
いったん住み始めてしまえば、それにどのような欠陥があったとしても、責任を求めることは非常に困難である

新聞で報道されているように、が誰が見ても明らかな欠陥がある場合を別とすれば、欠陥があったとしても、それがどのような理由によって発生したか、客観的に証明することはむずかしい。もともとの理由であることを第三者に証拠を挙げ自分たちの使い方によるものでなく、て説明することは容易ではない。
このように中古住宅については、売り手と買い手の間の情報買い手と第三者、あるいは裁判所との間に情報の非対称性がある。

ご自宅までお運びしましょうか

永代使用権

の非対称性とともに、日本では中古住宅市場は十分に発達してこなかった。その結果、買い手にとっては中古住宅を購入することはあまり有利な買い物とはいえない。売り手にとっても適当な値段で買い手を見つけることは困難である。その結果、中古住宅市場の売買量は低い水準にとどまっておりきわめて低い値段でしか売買されていない。また、中古住宅市場が整備されていないことを前提にすると、新築で住宅を買ったほうが有利であることがわかる。
中古住宅市場よりも、とにかく頭金を貯めて、新築住宅を購入するほうが有利であるもちろん現実には、中古住宅を売って住宅を買い替えたいと考えている潜在的な買い手や売り手がたくさんいるにもかかわらず、適当な価格での買い手が見つからないために、潜在的なミスマッチがたくさん存在している。中古でもいいから買いたいと思って借家に住むよりも、いる買い手もたくさん存在する。
中古住宅市場の売買をあきらめた人々は、新築住宅市場や借家市場に出かけざるをえない。その住宅を滅失するまで利用するのが合理的な方法でそして、新築住宅市場で家を買ったら、ある。もともと新築では標準的な住宅を求める必要はない。
中古住宅で売却できないのだから、人々は、自分に合ったカスタムメイドの注文住宅を得ることになるアメリカでは準的な住宅が多いこれに対し、アメリカでは注文住宅はきわめて少ない。ビバリーヒルズの豪邸などはもちろん注文住宅であるが、それは例外である。多くの平均的な所得水準の人たちが求める住宅は、郊外に行けばわかるように、同じような住宅がたくさんならんでいる。

建売り住宅である。これらは、きわめて合理的な供給方式といえる。なぜなら、彼らにとって住宅は自分たちが住むためのものであると同時に、中古住宅市場で将来転売するものだからである。その意味で標準化された住宅、すなわち多くの平均的な人たちが望むような住宅を購入することが、売却するときにも好都合である。
標準的な住宅は平均的に高い値段で売却することが可能つまり、であるこれに対し、日本の住宅のような注文住宅は、個人の好みによってつくられるため、多くの人たちの好みには合っていない。したがって、それを売却しようとすると、あまり良い売り物とはいえない。日本では中古住宅市場が発達していないために、もともと住宅を中古で売ることができない。つまり、住宅の所有者は将来売ることを考えていないのである。
その結果、注文住宅の割合が増えて、ほすます買い手がつかなくなってしまう。
これが中古住宅市場の取引を少なくしているさて、日本の中古住宅市場を整備して、取引を活発にするためには、どうすればよいだろうか。自分たちの住宅が質の良いものであることを証明する方法が、これまで存在しなかったことが、この中古住宅市場のいちばんの問題点である。

世帯数が減るこの情報の非対称性を解消するためには証券市場で用いられているような格付制度を用いるのが有効である

第三者が金融資産の品質の違いを審査して評価することによって、金融市場では、一般の投資家は大きな利益を得る。危険の程度がどのくらい違うかということを公開することによって買い手は安心して投資を行うことができる。これを住宅市場に導入しようというのが、最近の傾向である最近では、住宅性能保証制度や、耐震性能を客観的に評価する制度が考えられている。
また保険会社が住宅の品質についての保険を積極的に売り出そうとしている。
11000年九月から施行された住宅品質確保促進法では、住宅の瑕疵保証制度と住宅性能表示制度が導入された。
第一に、瑕疵保証制度のもとでは、新築住宅の基本構造部分に10年以内に欠陥が発見された場合、住宅の購入者が供給者に対して、無料修理や賠償金の支払いを請求できる第二に、消費者が住宅性能表示制度とは、住宅の性能を客観的に評価する制度を準備して、住宅を選択する際に有意な情報を提供しようとするものである。これは先に述べた格付制度に該当する。
これらはいずれも情報の問題を解決し、消費者が住宅を購入する際に合理的な選択を可能にするによるランク付けが行われる第一の瑕疵保証制度のもとでは、ハウスメーカーは購入者に保険を提供するかわりに、みずからも保険をかけて住宅を売ることになるであろう。損害保険会社は積極的にそのビジネスに中古住宅についても保険サービスを提供することが予参入しようと考えている。
将来的には、想されるこの制度では、住宅建築の依頼主やハウスメーカーが、保険会社に保険料を払って自分の住その住宅についてみずから検査し、宅に保険をかける保険会社は、安全な住宅であるかどうかをチェックする必要性が生じる。
保険会社が住宅をチェックしたうえで、安全なものならば一定の保険料のもとで保険サービスを提供する。保険会社が見落としたために、建築物に何らかの危険が発生した場合には、保険金が保有者に支払われる。したがって、保険会社はみずからのノウハウを用いて、住宅の安全性をチェックするようになる。

そのために、保険会社は建築物の安全性をチェックできる専門スタッフをそろえていくことになろう。保険会社は施工会社のランク付けを行うようになる。つまり、その結果、さまざまな住宅に保険を提供することによって、どの施工業者がより多くの瑕疵を生み出したか、どのような手抜き工事をしたかの情報を得ることになる。保険会社が、建築会社の安全性に対する関心の程度を評価できるようになる。
また逆に、そのような情報を用いてチェックされるために、施工業者間の競争からより良い品質の住宅を建築するようなインセンティブが働くことになる第二の住宅性能表示制度は、住宅の設計、施工、完成段階における性能評価を、第三者機関に委託することによって、住宅の品質についての客観的な情報を消費者に提供することにある。

電力会社や商社など、異分野からの参入が予定されているこの分野には、物登録制度も有益だもちろん、このような民間の検査士によって検査を行うためには、民間検査士自身の能力を査定して、免許を与えるような制度が準備されていなければならない。民間の検査士のなかには、建築業者と結託して誤った情報を流したり、手抜き検査をするような検査士が生まれるかもしれない。

そういった悪質な検査士を排除するためには、検査士の免許制度が必要である。
本人は重加算税